犯罪や非行をした人たちに対する支援経験等に関する調査報告

2024.03.05

立ち直りを支える地域支援ネットワークづくり事業部

1 調査の枠組み
 立ち直りを支える地域支援ネットワークづくり事業部は、2023 年 10 月 3 日(月)から同 31 日(火) まで、公益社団法人東京社会福祉士会会員を対象として、質問紙法(自計式、オンラインフォーム記入により回答できるようにした。)により実施しました。
 調査の目的は、①犯罪や非行をした人たちに対する社会福祉士の支援への関心度合いを測るとともに、 ②犯罪や非行をした人たちに対する過去の支援経験等を把握し、今後社会福祉士の支援につなげ又は支援を充実させていくための、休眠預金活用事業の活用の方向性と方法についての資料を得るためです。
 約 1 か月間に 363 人の会員からご回答いただきました。これは会員の約 8.7 パーセントに当たります。 多くの皆様が関心を寄せてくださり、お忙しい中回答くださいましたことに、心から御礼申し上げます。

2 報告全文
こちらの PDF pdfのとおりです。

3 まとめ(要約)
(1)犯罪や非行をした人たちに対する過去の支援経験等
 回答者 363 人のうち、142 人の回答者(回答者全体の約 4 割)が対象者と出会い、支援を提供してきたこと明らかとなりました。
 回答者の多くは、支援対象者が警察に捕まったらどうなるのかという実践的な対応に関する知識や、 犯罪や非行が生じるメカニズム、どのようなやり方で犯罪や非行から脱却できるのかといった専門的な知識のないままに、ネットワークを駆使して生活支援を行っていることが推察されました。

(2)今後社会福祉士の支援につなげ又は支援を充実させていくための、休眠預金活用事業の活用の方向性と方法
 現在の活動分野によらず、犯罪や非行が生じるメカニズム、どのようなやり方で犯罪や非行から脱却できるのかといった専門的な知識を身に付けることができれば、対象者により適切な支援を提供 することができると思われるので、事業部が、専門的知識に関する研修の機会を会員に提供していきます。
  環境と人との交互作用に着目する専門職である社会福祉士として、犯罪や非行に至ったその人の生きづらさに加え、「犯罪者」や「非行少年」に分類されてしまうことによる差別や偏見によって再 度道を踏み外すことへの懸念を抱くことは当然のことです。この点、①支部において地域内のネットワ ークを強化・拡大したり、協働する関連団体や活動を行う地区の住民等に対する啓発イベント等を実施したりするとともに、②事業部が、直接支援を行う関係機関や団体に関する情報を会員や行政機関等に提供し、協働の意義を確認し合うイベント等を通じて、東京都全体の取組を進めるための土壌を整えていきます。
 ウ 本事業の推進状況を広報することによって、過去に犯罪や非行のあった人に対する社会福祉士の支援への関心が高まれば、会員にとって、これまで出会うことがなかった対象者と出会い又は新たな 視点を持って対象者と関わる機会が増え、何らかの支援を提供するようになったり、支援提供には至らなくとも支援提供を前提とした葛藤を抱えるようになったりすることが推察されます。その際、事業部及び支部において支援に関する葛藤を受け止め、社会資源に関する情報提供等の後方支援を行うことで会員を支えていきます。